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Étiquette de l'article: 工房からの便り
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宙吹きガラス工房 虹・稲嶺盛一郎が紡ぐ「命を吹き込み、語りかけるガラス」
彩り豊かな琉球ガラスの世界において、独自の哲学を貫き、一線を画す工房があります。読谷村に構える「宙吹きガラス工房 虹」。
現代の名工・稲嶺盛吉氏の情熱をその身に受け継ぎ、現在は二代目・盛一郎氏が、その精神を静かに受け継いでいます。
琉華が描く美の世界に深く共鳴し、共に歩むこの工房に流れる「実直な意志」をご紹介します。
廃瓶に宿るぬくもりと、逆転の発想から生まれた「泡」
琉球ガラスの原点は、戦後の物資不足の中、廃棄された瓶を再利用したことにあります。 現在、扱いやすい原料ガラスへ移行する工房が増える中で、虹工房はあえて難易度の高い「廃瓶」を使い続けることにこだわりを持っています。
廃瓶(リサイクルガラス)は冷めやすく、炉から出して固まるまでわずか30秒。 その一瞬で命を吹き込む、極めて難易度の高い「職人泣かせ」の素材です。
かつて、廃瓶ゆえに混じってしまう「気泡」は不良品とされていました。 しかし先代・盛吉氏は「取り除けないのなら、美しく生かせばいい」という逆転の発想にたどり着きます。
そうして生まれた「泡ガラス」は、やがて世界が称賛する芸術へと昇華しました。 「廃瓶にしか出せない、唯一無二のぬくもりがある」 その信念は今も、虹工房の職人たちの手によって、唯一無二の質感として創り出されています。
伝統と革新一客ごとに宿る「呼吸」
虹工房の成形はすべて、型を使わない「宙吹き製法」で行われます。 溶けたガラスに職人が息を吹き込み、回転させながら形を整えていく。炎の状態やその日の気温によってわずかな違いが生まれるため、この世に二つと同じものは存在しません。
「型に吹き込めば同じものが作れる。でも、私はあえてそれをしない。一つひとつ形が違うからこそ、そこに魅力と命が宿るのだから」
盛一郎氏はそう語ります。効率や量産を求めるのではなく、日々研究を重ね、技術を磨き、昨日よりも良い作品を目指す。その飽くなき探究心こそが、虹工房が誇る「革新性」の正体です。
「語りたいけれど、もの言わないガラス」
先代・盛吉氏が遺した言葉があります。
『語りたいけれど、もの言わないガラス、命を吹き込んで語ってみよう』
この言葉を胸に、盛一郎氏は今日も1000度を超える炉の前でガラスと対話しています。廃瓶という過去を持つ素材に、職人の呼吸を通して新しい形を与える。それは、ガラスにもう一度、命の灯をともすような営みです。
「琉球ガラスは人を幸せにする力を持っている」
その信念のもとで生まれるガラスは、今日も静かに、しかし力強く、手にする人へ「沖縄の命」を語りかけています。
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